BLUE MEMO – Wednesday Column Vol.2「僕たち、ただ海を漂ってるだけさ。」

このごろ、心に影を落とすようなニュースばかりが目に入る。
最近のニュースは、「どうすれば人の目を引けるか」ということに、ますます重きを置くようになった気がする。
そのせいか、不安や対立をあおるような見出しも、以前より増えたように感じる。
中でもよく目にするのは、「結婚」「子ども」「老後」といった人生のテーマ。
子どもを持ったほうが幸せだ。
いや、持たないほうが幸せだ。
結婚したほうが安心だ。
いや、しなかったほうが安心だ。
こんなに千差万別な話題ですら、白か黒かをはっきりさせたがる。
そのデリカシーのなさに呆れるけど、つい覗いてしまう。目を背けることもできなくて。
そして、そんな夜は、
ぼんやりとした孤独や不安が、心の底からじわっと浮かび上がってくる。
そんなとき、ふと思う。
「僕たち、ただ海を漂ってるだけさ。得られる確かなものなんて、何ひとつない。」
家族も、友達も、仕事も、お金も。健康も。
どれも、手にしっかり握っていられるものじゃない。
ただ、僕たちのまわりを、ゆらゆらと頼りなく漂っているだけだ。
次の瞬間には、大きな波がやってきて、すべてをさらっていくかもしれない。
でも、また別の波が、新しい出会いや出来事を運んでくるかもしれない。
それもまた、突然に。
こうした流れは、僕たちにはどうしようもない。
必死で手繰り寄せようとすることはできるかもしれないけれど、それにも限界がある。
どんなに一時的に恵まれても、やがては静かな波に、すべてが洗い流されていく。
それは、とても哀しいことかもしれない。
でも、一方で、どこか楽になる。
この世界に、確実なものなんてひとつもない。
みんな、不確かな世界で必死に生きている。
どんなに恵まれて見える人でも、平等に不安を感じている。
だからこそ、僕たちは自由に生きていいのかもしれない。
いや、そうするしかないのだ。
無理に求めなくていい。
繋ぎとめようとしなくていい。
来る者拒まず、去る者追わず。
まるで海の一滴になったような気持ちで、
流れに身を任せて生きる。
そんなふうに考えていると、
心の中にたまっていた毒のようなものが、
少しずつ洗い流されていくのを感じる。